台湾在住の日本人ジャーナリストが民間シンクタンク「インド太平洋戦略シンクタンク」(IPST)を立ち上げ、台湾当局やメディア、外交関係者のほか財界からも注目を集めている。
Indo-Pacific Strategy Thinktank Yaita2

Japanese journalist Akio Yaita speaks at the reception celebrating the establishment of the Indo-Pacific Strategy Think Tank (IPST) on October 14 (©JAPAN Forward)

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台湾在住の日本人ジャーナリストが民間シンクタンク「インド太平洋戦略シンクタンク」(IPST)を立ち上げ、台湾当局やメディア、外交関係者のほか財界からも注目を集めている。

 

創設者は産経新聞の北京特派員や台北支局長として中国・台湾に関する報道を手掛けた矢板明夫氏(52)。国際社会の台湾に対する理解促進を目指し、台湾海峡の緊張度を数値化した「安全指数」なども定期的に公表する予定という。

 

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IPSTの使命

14日、台北市内のホテルで開かれたIPSTの設立記念レセプションには、台湾の政財界の要人が出席した。矢板執行長は「台湾は中国の対外拡張を防ぐ最前線にいる。このシンクタンクが台湾と世界の民主主義国との懸け橋となることを願う」と挨拶した。

 

10月14日、台湾の蕭美琴・副総統から贈られた花と記念撮影に応じるインド太平洋戦略シンクタンク(IPST)代表の日本人ジャーナリスト、矢板明夫氏(©JAPAN Forward)

 

矢板氏によると、IPSTは毎月、「台湾海峡情勢リポート」や「台湾海峡安全指数」を公表。国際社会の台湾に関する世論調査なども行うという。

 

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政治的支援

レセプションには台湾各界の要人や主要メディアが参加し、注目度の高さがうかがえた。会場では頼清徳総統の祝辞を総統府の何志偉副秘書長が代読。郭智輝・経済部長(経済産業相に相当)は「台湾は世界の半導体供給網のかなめだ。IPSTの活動を通じ、インド太平洋地域の経済安全保障における台湾の重要性に関して国際社会の理解が進んでほしい」と期待感を示した。

 

米国在台協会(AIT)台北事務所のレイモンド・グリーン所長も「IPSTと協力して米日台の関係を推進し、台湾海峡やインド太平洋地域の平和と安定を強化していきたい」と訴えた。

 

10月14日、インド太平洋戦略シンクタンク(IPST)設立記念レセプションであいさつする米国在台協会(AIT)台北事務所のレイモンド・グリーン所長(大使に相当)(©JAPAN Forward)

 

レセプションには日本の対台湾窓口機関、日本台湾交流協会台北事務所の片山和之代表や、台湾の対日窓口機関、台湾日本関係協会の蘇嘉全会長も出席した。

 

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中国の恫喝

レセプションが開かれた14日には、中国人民解放軍で台湾方面を管轄する東部戦区が台湾を取り囲む形で大規模な演習を実施し、台湾周辺で過去最多となる中国軍用機延べ153機が確認されるなどした。

 

同日、中国当局が「台湾独立分子」として制裁対象リストに加えることを公表した聯華電子(UMC)の創業者、曹興誠氏は「きょうの中国軍の演習によってIPSTの重要性が一層明らかになった」と壇上で話した。

 

10月14日、インド太平洋戦略シンクタンク(IPST)設立記念レセプションであいさつする聯華電子(UMC)の創業者、曹興誠氏(©JAPAN Forward)

 

中国の天津市から台湾へ

矢板氏は中国残留邦人2世として中国天津市で出生し、15歳で日本に引き揚げた。慶応大文学部卒業後、松下政経塾に入塾。日中2か国語に堪能な中国通ジャーナリストとして台湾で注目を集めてきた。

 

日台で研究活動を行う米国人政治学者、ロバート・エルドリッヂ博士は「今後、IPSTがどのような研究成果を出すのか注目したい」と話している。

 

 

著者:西見由章(産経新聞台北支局支局長)

 

 

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